
なぜ「お客様の話」は聞けるのに「部下の話」は聞けないのか?
ある金融会社の営業部長から、相談を受けたことがあります。コーチングを学んでいるが、なかなか板につかない。なぜ、自分がやってきたような営業を部下はできないのか…
記事を読む2020.12.16
「エネルギー効率」という言葉があります。
投入したエネルギーに対して活用できたエネルギーが高ければ高いほど、「エネルギー効率」が高いということになります。
火力発電を例にすると、投下した燃料の発熱量に対して、そこから電気として利用される部分が多ければ「エネルギー効率」が高い。
逆に電気にならない部分(廃棄熱)が多いと、効率が低いということになります。
「エネルギー効率」の高い発電所もあれば、低い発電所もあるように、企業にも、「エネルギー効率」の高い組織と低い組織があります。
社員の思考や行動の大半が、会社の業績向上にむかい結果が出れば「エネルギー効率」は高いと言えるでしょうし、そうでなければ、「エネルギー効率」は低い。
クライアントの社長の方々に「御社のエネルギー効率は何パーセントぐらいですか?」と聞くと、謙遜もあるのでしょうが、割と低い数値、60%前後を上げる方が多くいらっしゃいます。
仮にそうだとすると、社員の思考と行動、つまりエネルギーは、どこに振り向けられているのでしょうか?
会議の効率化が叫ばれて久しいですが、会議での議論が活性化しないという話は今でも頻繁に耳にします。
ある大企業の経営企画の課長がおっしゃっていました。
「うちの会社には、会議の前の事前会議というのがあります。本番の会議がスムーズに流れるように」
それから1年ぐらいして、その方に再び会いました。
「鈴木さん、最近では、事前会議の事前会議までやるようになりまして...」
この大企業では、社員の思考と行動が、「会議で誰の顔も潰さない」ことに多く割かれていることがわかります。おそらく、会議の場だけではないのでしょう
。会議は象徴的な場であって、ありとあらゆる所で、業績向上にむけて、ではなく、エネルギーが「浪費されている」ことが容易に想像できます。
要するに、エネルギー効率の悪い企業では、エネルギーは互いの「保身」に振り向けられているのです。
企業の経営者であり、著名な著述家でもあるマーガレット・へファーナンは著書で次のように述べています。(※)
「私たちは口論が絶対起きないようにするための習慣や、(話し方、身振り、動作などの)独特の癖を発達させる。
心理学者はこれを『カバーリング(抑圧)』と呼ぶ」と。
そして、このことにあまりに多くのエネルギーを注ぐために、人はアイディアを先に進めることもなく、そのまま行き詰まってしまうのだそうです。
時に繕い、時に小さな嘘をつく。報告を最小限にとどめたり、逆に膨大にしたり。あるいは、無用の議論を仕掛けたり、黙ったり。
みなさんの組織では、どのくらいの「保身」が「エネルギー効率」を落としているでしょうか?
もし、その「保身」がエグゼクティブの間で日常的に起こっているとしたら、会社のエネルギー効率は大きな打撃を受けることになります。
2018年8月9日公開記事(Hello, Coaching! より許可を得て転載)
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